草も気も 我が大君の國なれば いづくか鬼の 棲なるべき
天智天皇の御代の伝説である。
藤原千方という豪族がいた。
彼は、金鬼
・風鬼
・水鬼
・隠形鬼
という四鬼を意のままに操ることができた。
堅固な体で矢をも通さない金鬼。
大風を吹かせ敵城を吹き破る風鬼。洪水を起こし陸地で敵を溺れさせる水鬼。その姿を隠し突然敵に襲いかかる隠形鬼。
四鬼の術はいずれも人の力では防ぎようがなく、千方の領する伊勢・伊賀両国の王化は難航を極めた。
こうした事態を受けて、天皇より千方討伐を命じられたのが、紀朝雄という人物である。
朝雄はかの地に赴くと、冒頭の和歌を一首読み、鬼たちに向けて送った。
「草も気もすべてこの国のものは天皇が治めているのだ。鬼の居場所などどこにあろうか。」
この歌を受けた四鬼は術を奪われ一目散に逃げ去った。
そして勢力を失った千方を、朝雄は見事討ち果たしたのである。
新天皇陛下の御即位を奉祝し、新時代「令和」のこの国の安寧と繁栄を祈り願うものである。
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