平成十二年度 出陣ねぶた
ねぶた大賞
今別の伝説より 「 大泊の鬼 」

 今別[いまべつ]大泊[おおどまり]の海岸には、奇岩怪石におおわれた岩場があり、その中に「鬼の穴」と言われる洞窟もある。 その昔、この岩穴に鬼が住みつき、海を通る船や、田畑を荒らしたり、村人たちは困りはてていた。 そこへ、兄・頼朝[よりとも]に追われ蝦夷[えぞ]へ向かっていた義経[よしつね]一行が通りかかり、話をきいた義経[よしつね]はその鬼を退治してしまったという。 青森には各地に鬼伝説が残っているが、この「大泊[おおどまり]」という地名も鬼が住んでいた「おにどまり」からきているといわれている。

 今別[いまべつ]町は青函[せいかん]トンネルの本州側入口として知られているが、津軽[つがる]海峡に面した海岸一帯は、津軽[つがる]国定公園に指定されており、変化に富んだ断崖が続き、そこからの月の眺めが見事であると義経[よしつね]が絶賛したという袰月[ほろづき]海岸など、景勝地としても親しまれている。

解説/竹浪 魁龍