平成四年度 出陣ねぶた
観光協会会長賞
「 魯智深・五台山を揺がす 」
−水滸伝より−

 胃州経略府[いしゅうけいりゃくふ]の指揮官・魯達[ろたつ]は人助けから義侠の腕をふるって追われる身となった。 追手から逃がれるため、五台山文殊院に上って出家し、智深という法名をさずかる。 しかし、生来の剛直さは改まらず、ある日したたかに酒を呑んで帰山する。 「葷酒[くんしゅ]山門ニ入ルヲ許サズ」と大書された山門の前で、力で押し入らんとする智深は、これを許さじと集まって来た番僧・役僧らと争いになる。 墨染の法衣[ころも][]ねて、諸肌ぬぎに大暴れする智深。 背には百花の刺青が[くれない]の肌に燃え、七尺隆々たる巨漢・花和尚[かおしょう]の大酔は、地響きをたてて一山を揺がした。 後に、水滸塞中、梁山泊[りょうざんぱく]に集う英雄・豪傑、百八人。 花和尚・魯智深もまたその一人である。

解説/竹浪 魁龍