胃州経略府の指揮官・魯達は人助けから義侠の腕をふるって追われる身となった。
追手から逃がれるため、五台山文殊院に上って出家し、智深という法名をさずかる。
しかし、生来の剛直さは改まらず、ある日したたかに酒を呑んで帰山する。
「葷酒山門ニ入ルヲ許サズ」と大書された山門の前で、力で押し入らんとする智深は、これを許さじと集まって来た番僧・役僧らと争いになる。
墨染の法衣を刎ねて、諸肌ぬぎに大暴れする智深。
背には百花の刺青が紅の肌に燃え、七尺隆々たる巨漢・花和尚の大酔は、地響きをたてて一山を揺がした。
後に、水滸塞中、梁山泊に集う英雄・豪傑、百八人。
花和尚・魯智深もまたその一人である。
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